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顕微鏡歯科ネットワークジャパン主催のセミナー「見える歯科治療へのご招待 vol.7」取材記事(2014年2月23日)に参加してきました。セミナーの内容を要約したコラムです。ぜひ、御覧ください。

顕微鏡歯科ネットワークジャパン主催のセミナー「見える歯科治療へのご招待 vol.7」取材記事(2014年2月23日)

先日、顕微鏡歯科ネットワークジャパン主催のセミナー 「見える歯科治療へのご招待」に参加してきました。セミナーの内容を要約し、みなさんにお知らせしたいと思います。

顕微鏡歯科ネットワークジャパン”という活動は、顕微鏡歯科治療の普及と幅広い認知、会員相互の治療技能の向上、ひいては多くの問題を抱えた歯科医療の臨床現場の変革を目指し、顕微鏡歯科治療に取り組む歯科医師による自主運営の組織として平成22年6月に設立されました。(webサイトより引用)

この組織のメンバーに認定されるには、ある一定の顕微鏡技術がないといけません。顕微鏡を使った治療の実際を、ビデオ審査などを通じて審査され、その技術がある一定以上をクリアしていることが確認された歯科医師のみ認定されます。つまり、日本でも有数の顕微鏡を使いこなす歯科医師が集まる組織ということができます。

この組織には12名の歯科医師が登録されています。

日本に7万件近くある歯科診療所のうち、歯科顕微鏡を保有している診療所は約5%と言われています。さらに言えば、その5%の中でも、きちんと歯科顕微鏡を使いこなせている歯科医師となると、さらに少なくなるそうです。そんな日本の顕微鏡歯科治療事情の中、この“顕微鏡歯科ネットワークジャパン”は有志で立ち上がり、日本の歯科治療の未来を見据え、一般の方々に顕微鏡治療の優位性を伝えるべく、「見える歯科治療へのご招待」という無料セミナーを定期的に開催しています。

今回は第7回目。それでは、セミナーではどんな事が学べるかについて、簡単にご説明します。

歯科用顕微鏡の役割

セミナー講師は3名。まずは、神奈川県川崎市の岡野歯科医院の岡野眞先生。

歯周病治療に、どのように歯科顕微鏡が使われるかを説明してくださいます。

人が歯を失ってしまう原因のほとんどがむし歯と歯周病が原因と言われています。成人の約8割がかかっているといわれる歯周病は、もはや国民病です。しかも、歯周病は無自覚で進行していく病気です。最初は症状が無く始まり、症状が現れた頃には、ひどく進行しているという厄介な病気なのです。よって、歯科医院でメンテナンス・クリーニング、歯科検診などを定期的に行い、歯周病の予防と早期治療が必要になります。

これまでは、肉眼の状態でお口の中を拝見し、歯科検診やクリーニングをしてもらいながら歯周病を予防してきました。しかし、顕微鏡下で見ながら歯周病治療や歯周病予防のクリーニングをするのとしないのでは大きな違いがあるあるのです。歯周病の進行具合を調べるために測る歯周ポケット測定。3mm以内が正常とされますが、たとえ正常範囲だと思われても、隠れた所で炎症がおき膿がたまってしまっていたケースなどもあるそうです。一見、肉眼では歯周病では無いと診断され続けてきたとしても、肉眼の20倍の世界で見た時には、明らかな中度の歯周病が見つかり歯周外科手術にまで至るケースもあるそうです。

岡野先生の講演では、いかに、顕微鏡下での歯科検診やクリーニング、歯周病治療が大切かを事例に基づきながら理解できます。

次に、渋谷区恵比寿の山口歯科クリニックの山口義徳先生。

むし歯治療に、どのように顕微鏡が用いられるのかを説明してくださいます。

実は、むし歯治療の多くは、新しいむし歯ができたことによる治療よりも、『再治療』が多いのだそうです。『再治療』とは、いわゆるやり直し治療です。前回の治療で、むし歯の取り残しや、ピッタリあった被せ物をしなかったことにより、被せ物の隙間からむし歯菌が挿入してしまい、治療して被せ終わった冠(クラウン)の中で、じわじわと虫歯が大きくなっていきます。結果、むし歯が悪化し、再治療となってしまうケースです。治療したのに症状が治らない、というケースは、こういう問題が潜んでいるのです。

そしてこれも、歯科顕微鏡で解決に進むことが可能です。

肉眼の約20倍で拡大して見ることで、肉眼では見つからなかったむし歯を見つけ、きちんと取り切ることができます。さらに、拡大した状態で被せ物(冠)を被せることで、隙間のないピッタリあう被せ物をかぶせる事が可能です。どんなに良いセラミックの材料などを使って治療をしたとしても、ピッタリ合う被せ方をしなければ、その歯は、むし歯のリスクから逃れられないのです。これは、決して肉眼では出来ないだということを説明してくださいます。

そして最後に、千葉県浦安市のおもて歯科医院の表茂稔先生。

表先生は、顕微鏡を使った歯の根っこの治療について説明してくださいます。

顕微鏡での治療の中でも、最も大きな治療成果が期待されるのが歯の根っこの治療です。なぜなら、歯の根っここそ、肉眼では見えにくく、なかなか思い通りの治療にならない治療の一つだからです。

しかし、顕微鏡で見ることで、より正確で確実な歯の根っこの治療が可能になります。さらに、歯の再治療で多いのも、この歯の根っこの治療。しっかり治療したはずなのに、また腫れてしまったとか、膿が止まらないなどの治療後のトラブルがとても多いのが現状だそうです。しかし、顕微鏡下で拡大することにより、肉眼では決して見えない歯の根っこまでていねいにアプローチすることができます。実際に、肉眼では根管という歯の神経の管を数を見落とすケースもあるのだとか。見落としたことにより、炎症が起きた部分の洗浄が行き届かず、治療したはずの根管の炎症が再燃するという事の繰り返しになるそうです。

そこで、顕微鏡で行われる、確実な根管治療についてご説明してくださいます。

以上のように、3名の顕微鏡歯科治療を実践されている腕の確かな先生方が、ていねいに治療の実際について説明してくださいます。一人の先生あたり、20分ずつくらいですので、要点を的確にまとめていただき、簡潔明瞭なはなしを聞くことができますので、このセミナーをうければ、自分に必要な治療であるかどうかをしっかり見極める事ができるところまで理解できます。

どの先生も、お話が上手で分かりやすくあっという間に時間が過ぎていきます。

また、セミナー会場には、実際の顕微鏡が設置されていますので、肉眼の約20倍の拡大された世界をのぞくことができ、どんな治療が受けられるかが一目瞭然です。興味のある方や、現在、なかなか直らない虫歯や歯周病をお持ちの方は、今後の検討の一つとして、ぜひ、セミナーに足を運んでいただきたいと考えています。

 

セミナー情報は、こちらのサイトより御覧ください