記事概要

当社のパートナーである歯科コンサルタント 渕上裕司氏さんのコラムを特集いたしました。歯科医院事務長育成講座DVDの販売や、コンサルティングのご相談のご紹介も行っております。ご用命はノーブランドまでお寄せください。

特別コラム:“青田は刈るな!自費契約額の7割をストック患者様でつくる”

渕上裕司氏

株式会社メディプラス代表取締役 一般社団法人日本食育ネットワーク専務理事。大手コンサルティング会社で医療機関や上場企業を担当し15年勤務。その後、WEBで歯科医院の経営学校を設立。歯科医院の事務長養成講座、事務長の代行、コンサルティング業務を通して、成功歯科医院を数々と創出。現在も医療法人数軒の現役事務長。
URL:http://www.f-house1.com 

 

 

私は約20年ほど経営コンサルタントの仕事に携る中、多くの先生方のインタビューで「先生のところは自費率どのくらいですか」と質問させて頂くことあります。

「昔はもっとあったんですけどね、今は30%ないかな。インプラントがあれば楽なんですが、水モノですからね」といった会話が最近多いように思います。

そこで、私はもう一つ質問させ頂きます。

「ところで、自費診療の中身ですが、新患と再初診の内訳は分かりますか?」と。

大半の先生方は「??」と質問の意図に疑問を感じるようです。

本来自費の中身と言えば、クラウンブリッジが多いのか、金属床が多いのかなど、治療行為の内容をお考えになると思います。その内容を詳細に見ていくことで、補綴の商品ラインナップが適切か、価格政策は妥当かなどの問題も見えてくるでしょうし、そもそもカウンセリング機能に問題があるのか、いや治療説明、情報提供自体に「ムラやモレ」があるかもしれません。

これもとても重要な切り口です。

しかし、ここで改めて「医院経営」という観点から自費診療収入を見てみましょう。

今の診療所を「今年で終わり!」とか「あと2~3年でやめよう」と考える方は少ないと思います。

ご存知の通り経営の大原則は「ゴーイングコンサーン(社会的に存続すること)」であり、マラソンのような長期戦です。今月来院された、まだ信頼関係のできていない新しい患者さんに、先生がベストだと思う提案を受け入れてもらうことは、そう簡単なことではありません。

今月のキャッシュフローを考えるとつい患者さんの都合よりも医院の都合でお話ししてしまうことも、たまにはあるかもしれません。

今の日本において、新患の数は物理的に限られています。新患頼りの短期視点で診療は、経営的に貧弱を言わざるを得ません。健康管理型の歯科医院として、これからは新患だけではなく、再初診、予防の患者さんを顧客(顧みる常連さん=ファン)、つまりリピーターが主役になって来ます。

初診カウンセリング時に、こちら提案を受け入れて頂けなかった方、まだ自分の歯にあまり関心が持てていない方、結果として自費診療にならなかった方・・・。

人が主体的に動くには、意思決定の飽和点のようなものがあり、少しずつ心の中で蓄積してきた不安や欲求がいよいよ一定のラインを超えた時に、「これが、先生が言っていたあれか!」「いつも担当の衛生士が言っていたな」といった気づきが行動へのトリガーとなります。

その近い将来にやって来るタイミングで、自院と患者さんの関係が切れていないことが、経営戦略上非常に重要なのです。

初診時には興味なし、根充後に説明しても決まらず・・・、それでも予防の大切さが伝わり、「リコールだけは絶対!」といメッセージが刺さった方は、必ずクリニックに戻ってきます。

定期的にお口のクリーニングをしている中で「やっぱりこの銀歯が気になるの」とか「こっちによくモノが挟まるようになって」となった時こそが、ベターなタイミングなのでしょう。

「だから言ったこっちゃない」と心で思いながらも、「では同じお話しになって恐縮ですがもう一度・・」と丁寧に説明してあげてください。

同じ話二度三度と聞いても、ほとんど覚えていないのが実態です。私が事務長を代行している医院で自費率60%で約3億の売上、利益が8千万強の予防歯科があります。

ここでは、自費契約額の70%が再初診、リコールでいらしている患者さんなのです。