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ここまで4回ほどレポートさせていただきましたが、お役に立てる情報になりましたでしょうか?今回は、自由診療の治療を促すためのカウンセリングの課題で最も多い『時間が無い』という現状についてまとめていただきました。ぜひ、ご参考ください。

特別コラム:自費のカウンセリングの課題『時間がない!』(シリーズ:歯科コンサルティングの現場から Vol.5)  

渕上裕司氏

株式会社メディプラス代表取締役 一般社団法人日本食育ネットワーク専務理事。大手コンサルティング会社で医療機関や上場企業を担当し15年勤務。その後、WEBで歯科医院の経営学校を設立。歯科医院の事務長養成講座、事務長の代行、コンサルティング業務を通して、成功歯科医院を数々と創出。現在も医療法人数軒の現役事務長。
URL:http://www.f-house1.com 

 

 

 

先日、ある歯科医院の経営ミーティングで、キャリアの浅い先生の「治療説明や自費のコンサルの時間が長い」という話がテーマにのぼりました。

もちろん、時間が長くても、顧客が納得し満足度が高まり、結果に結びついていれば問題にはならないのですが、話が長くて治療の時間が無くなってしまうことで、マイナスの要素が多くあることが問題となったのです。

自由診療における、今後の治療計画や補綴に関する説明は、できるだけ個室で、患者の目で見ながら、解りやすいツールを活用してしっかり時間をとって行うというセオリーは疑いの余地はありません。

しかし、現実的には「すべての患者様」にこれを行うことはできません。

実際には、最初に治療計画をしっかり立て、検査内容とコンサルティングを丁寧にできる対象(患者)は限られています。 多くの場合は、限られた細切れの時間の中で、説明を強いられることになります。 そんな状況下で、いつもと同じペースで、その場その場の要領得ない話では、患者さんに飽きられるのも無理がありません。

しかしながら、“短時間で、伝えたいことをズバッと伝え”、“相手に意思決定を迫る!”というのは、大変高度なスキルが必要なものです。

そこで、すぐにできることとして以下の3点を実行していただくことをおすすめしています。

一つ目は、道具を使うこと。

二つ目は無駄をカットすること。(「癖」「主観」「センテンス」の3つに多いに無駄があること気づくことが先決)

三つめは、トレーニングを定例化すること。

一つ目の道具とは、説明用資料や模型です。

ここでは詳細までは紙面を割けませんが、人は情報の8割を視覚から得ているという特性を活かすべきです。 ベテランの先生でさえ、言葉で伝えることは難しいのに、若い先生が、相手が聞きたくないというサインを沢山出しているのに、ダラダラ話している姿は痛々しいです。欲張らず1回で一つの情報が良いでしょう。写真や絵で一目で分かる1枚ものの資料やサンプル模型は、雄弁に語ってくれます。 そして時間が足りない場合も想定して、最後にお渡しできるようにしておきます。

二つ目は無駄のカットです。 一番効果的なのは「癖」をカットすることです。 よくある癖は「まぁ、え~、あの~、その~、この~」の「前あそこ」です。(その話はどこへ行くんですか?前はあそこですよと覚えましょう)自分の周りの方の話を意識して聞いてみて下さい。テレビのアナウンサー、池上彰さん、林修さんが「あの~、その~」とテレビの限られた尺の中で聞いたことありますでしょうか?彼らの話は、とっても簡潔で説得力があり聞きやすいですね。

私も仕事柄、プレゼンや講演をよく引き受けますので、時々矯正するために、話し方の勉強に出ることがあります。先日、勤務医の方と一緒に参加した「モチベーション&コミュニケーションスクール(東京都新宿 桐生稔先生)」の「できるビジネスマンは話が短い」はシンプル且つ実践的に推奨できます。 http://www.motivation-communication.com/

三つめは、言わずと知れた「練習ありき」です。

資料を自分の手で作り、それを使って継続的にロールプレイングで練習をすることです。形成やスケーリングの練習はするのに、治療説明の練習をしないのは何故でしょう?

できていると勘違いしているのか、その大切さを理解していないかではないでしょうか。

スタッフ含めてロープレを継続しましょう。ただし、みんなが見ている前で、いきないロープレさせ「ダメ出し」をするのは逆効果です。まずは、一人ロープレ、次にペアロープレ(二人ペアで行う)、最後に「見本ロープレ」(全員の前で)が基本です。 非常に大きなテーマですので、またの機会に詳しくお伝えできればと思います。